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面接で聞いてはいけないこと:厚生労働省の14項目と、聞きたいことの言い換え

この記事は、面接で聞かないようにする質問を、厚生労働省が採用選考で配慮を求めている14の項目で整理したものだ。そのうえで、それでも聞きたくなることを、仕事の条件の言葉に言い換えるやり方をまとめた。

14項目の中身、引っかかりやすい雑談の一言、言い換えの表、面接官が始める前に1分で確かめる方法、面接の中で聞いてしまったときの記録の扱い、の順に書く。最後に、自社で面接官に渡すものを表にした。

基準は1つ:仕事の適性と能力に関係のないことは聞かない

厚生労働省の資料が示している線は、細かい項目に分かれているが、自分は採用の試作を作るときに、これを一行にまとめた。本人の適性と能力に関係のないことは、聞かない・書かせない・調べない。

その中身が、次の14項目になる。

分け方項目
本人に責任のない事項の把握(4)本籍・出生地に関すること/家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)/住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近隣の施設など)/生活環境・家庭環境などに関すること
本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)の把握(7)宗教に関すること/支持政党に関すること/人生観、生活信条などに関すること/尊敬する人物に関すること/思想に関すること/労働組合(加入状況や活動歴など)、学生運動などの社会運動に関すること/購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
採用選考の方法(3)身元調査などの実施/本人の適性・能力に関係ない事項を含んだ応募書類の使用/合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施

このほか、女性にだけ結婚や出産の予定を聞くことは、男女雇用機会均等法の問題にもなる。

表を見ると、14項目のうち3つは質問ではなく、会社の側のやり方の話だと分かる。応募書類の様式に家族の欄や本籍の欄が残っていれば、面接官が何も聞かなくても、書かせていることになる。身元調査や、仕事に必要のない健康診断も同じで、面接官1人が気をつける話ではなく、会社の採用の手順として決めておくことになる。

引っかかるのは、雑談の形をした一言

面接で実際に出てくるのは、「宗教は何ですか」のような質問ではないと思う。出てくるのは、場をほぐすつもりの一言のほうだ。

「ご家族は何人ですか」「お住まいは持ち家ですか」「ご出身はどちらですか」「尊敬する人物は誰ですか」。どれも、相手を知ろうとして出てくる言葉で、聞いている側に悪気はない。それでも14項目に照らすと、家族、住宅状況、出生地、尊敬する人物に当たる。

人事の側から見ると、その立場から見ると、項目の一覧を配るだけでは、この雑談の一言は止まらない。面接官は差別をしようとして聞いているのではなく、知りたいことがあって聞いているからだ。止めるなら、知りたいことのほうを、聞いてよい形に置き換えて渡すしかない。

聞きたいことは、仕事の条件の言葉に言い換える

家族のことを聞きたくなる面接官が本当に知りたいのは、たいてい、シフトに入れるか、通えるか、続けられるか、だと思う。それなら、その条件をそのまま聞けばいい。

聞いてしまいがちな一言言い換え
ご家族は何人ですか。お子さんは?早番(7時)と遅番(19時)は、どちらが入れますか。
お住まいは持ち家ですか。通勤にはどのくらいかかりますか。何で来ますか。
ご出身はどちらですか。勤務地まで、毎日通えますか。
尊敬する人物は誰ですか。仕事で大事にしていることを教えてください。
持病はありますか。この仕事では◯◯をします。業務でできないことがあれば教えてください。

言い換えのほうが、答えも採用の判断に使える形で返ってくる。「子どもが一人います」という答えは、シフトに入れるかどうかを何も教えてくれない。「遅番は入れます、土曜は月2回までなら」なら、そのままシフト表に載る。

本人が自分から家庭の事情を話したときも、中身は深追いしない。試作の録音の見本では、「夜は家の事情で避けたい」という答えに、次に聞くこととして「早朝は何時の出庫まで大丈夫ですか」だけを出した。家の事情の中身は聞かない、と添えてある。

覚えるより、始める前の1分で確かめる

試作では、面接官が始める前に、要点を1分で見て、○×の確認テスト10問で8問以上なら合格、という形にした。

この質問、聞いてよい?答え
前の職場でいちばん大変だった仕事は何ですか。○ 仕事の経験と能力を聞いている
ご両親のお仕事は何ですか。× 家族に関すること
早番(7時)の勤務に間に合いますか。○ 仕事の条件を確かめている
お子さんが熱を出したら、誰が見ますか。× 家庭環境・家族に関すること
愛読書は何ですか。× 本来自由であるべき事項

教材の中身は、自前で書かないと決めた。厚生労働省の資料があり、ハローワークで資料と研修の案内もある。線を引くのは国の資料で、自分が作ったのは、それを1分で見る要点と○×の確認だけだ。

評価シートに、聞いてはいけない欄を作らない

採用管理システムで面接の評価シートを使っているなら、シートの側でも止められる。sonar ATS のように、自社の選考指標に沿った評価シートを作れる製品なら、家族・住まい・出身のように14項目に当たる欄は最初から作らない。自由記述の欄も、「仕事の経験と、勤務の条件について」のように書く範囲を欄の名前に入れておく。欄が無ければ、聞いてしまった答えを書く場所も無い。

自社でやるなら:面接官に渡す4枚

順渡すもの中身時間
114項目の一覧厚生労働省「公正な採用選考の基本」のページ印刷して1枚
2言い換えの表自社の仕事の条件(シフト・通勤・体を使う作業)で5組ほど作る半日
3○×の確認テスト10問・8問以上で合格。面接の前に毎回1分
4応募書類の様式の見直し家族・本籍・持ち家などの欄が残っていないか30分

いちばん効くのは2の言い換えの表だと思っている。14項目は国の資料で全員同じだが、言い換えは会社の仕事ごとに違うので、自社で作るしかない。

一覧より先に、言い換えを渡す

聞いてはいけない14項目は、調べればすぐに出てくる。それでも面接の場で出てしまうのは、面接官が知りたいことを持っているからで、その知りたいことに、聞いてよい形を先に渡しておく。自分が面接官に渡すなら、一覧より先に、言い換えの表のほうを渡す。

よくある質問

Q. 応募者が自分から家族のことを話したら、どうしますか。
A. 話を止める必要はありませんが、中身を深追いせず、記録にも残しません。知りたいのが勤務の条件なら、「何時まで入れますか」のように条件のほうを聞き直します。
Q. 健康のことは、まったく聞けないのですか。
A. 仕事に必要な範囲なら聞けます。「この仕事では◯◯をします。業務でできないことがあれば教えてください」のように、仕事の中身から聞きます。合理的・客観的に必要性が認められない健康診断の実施は、14項目の1つに入っています。
Q. 面接官向けの資料は、どこで手に入りますか。
A. 厚生労働省の「公正な採用選考の基本」のページに14項目と考え方がまとまっています。ハローワークでも資料と研修の案内があります。

内部根拠

筆者は上場企業2社で主に人事・労務を担当してきた。14項目の表記は[S1]の厚生労働省のページに合わせた。言い換えの表・確認テスト・録音の見本は、筆者が2026年10月に作った採用の工程の試作(会話はすべて架空)で、出典の[S2]〜[S3]に対応する。評価シートを作れる採用管理システムの機能は、公式ページ([S4]・2026年10月20日確認)に書かれている範囲だけを載せた。

出典

  • [S1] 厚生労働省「公正な採用選考の基本」(採用選考時に配慮すべき事項=本人に責任のない事項の把握4・本来自由であるべき事項(思想・信条にかかわること)の把握7・採用選考の方法3)(閲覧日:2026-10-20)
  • [S2] 筆者が作った採用の工程の試作(2026年10月・面接官向けの1分の要点と確認テスト・録音の見本・質問案の作り方)。会話はすべて架空
  • [S3] 同じ試作の作業記録(2026年10月・教材の決め方・内部記録)
  • [S4] Thinkings「sonar ATS」機能(自社の選考指標に沿った独自の評価シートを作成し、システム上で記入)sonar ATS 機能ページ(2026年10月20日確認)