働き方改革推進支援助成金——運送会社は、何に、いくらまで使えるのか
業種別課題対応コース(運送業等)/令和8年度の交付申請期限は11月30日17時
働き方改革推進支援助成金とは、労働時間の削減や勤務間インターバル制度の導入といった取り組みを行う中小企業に、その取り組みの費用の一部が助成される制度のことだ。業種別課題対応コースには運送業が名指しで区分として置かれ、対象になる取り組みの3番目には外部専門家によるコンサルティングが入っている。この記事では運送業等の区分について、対象になる取り組みと成果目標ごとの助成上限額、補助率、専門家に払える費用の上限、申請の締切と順番を、厚生労働省の一次資料で確認する。
拘束時間を減らせと言われ、デジタコも入れたが、月の数字は思ったほど下がらない。相談できる相手がいても、そこに払う金の話になると止まる——その相談費用を含めて国が一部を出すのが、この助成金だ。
専門家(コンサルタントなど)に払う費用は、上限10万円(支給要領の別表)。見積もりはこの前提で組む。
以下はすべて2026年度(令和8年度)時点の厚生労働省の資料に基づく。運送業等の区分について書いているので、建設業や病院等の区分とは数字が違う。
この記事が向いているのは、こういう会社だ。
- 36協定の特別延長が月60時間を超えている、または所定外労働を減らしたい
- 労務管理のソフトやデジタコを入れたいが、費用の順番が回ってこない
- 助成金の名前は聞いたが、業務改善助成金との違いが分かっていない
なお、私は申請代行は行っていない。これは制度の読み方の整理である。
業務改善助成金と、どこが違うのか
この2つは名前が似ていないのに、社長の頭の中ではよく混ざる。「国が設備投資に金を出す制度」という点が同じだからだ。だが、何を約束させられるかが正反対である。先にそこを並べる。
働き方改革推進支援助成金の業種別課題対応コースとは、労働時間の削減や勤務間インターバル制度の導入といった成果目標を選んで達成し、そのために実施した取り組みの費用の一部を助成される制度だ。約束するのは時間である。対して業務改善助成金が約束させるのは賃金で、事業場内で最も低い賃金を50円以上引き上げることが入口の条件になる。
| 比べる点 | 働き方改革推進支援助成金 (業種別課題対応コース・運送業等) | 業務改善助成金 |
|---|---|---|
| 約束すること | 労働時間などの成果目標を1つ以上選び、達成する | 事業場内最低賃金を50円以上引き上げる |
| 賃上げは条件か | 必須ではない。賃上げは選択制の加算(やれば上限額が増える) | 必須。賃上げをしなければ土俵に乗らない |
| 主な対象経費 | 研修、外部専門家によるコンサルティング、就業規則・労使協定の整備、人材確保に向けた取組、労務管理用ソフトウェア、デジタル式運行記録計、労働能率の増進に資する設備・機器 | 生産性の向上、労働能率の増進に資する設備投資など |
| 外部の専門家に払う費用 | 対象。ただし合計10万円まで | 経営コンサルティングの経費区分がある(例示は国家資格者による業務フロー見直し) |
| 補助率 | 4分の3(30人以下で設備・機器を入れ、所要額30万円超なら5分の4) | 5分の4または4分の3(事業場内最低賃金1,050円で分かれる) |
| 申請の期限 | 令和8年11月30日(月)午後5時。予算の制約で予告なく締め切る場合あり | 令和8年9月1日から。締切は自社の県の地域別最低賃金の発効日の前日か11月30日の早いほう |
右の列の詳細は別に書いた(業務改善助成金で、運送会社は何ができて、何ができないのか)。ここから先は、左の列だけを見ていく。
自社が対象になるかを、2つの条件で確かめる
運送業等の区分で対象になる中小企業事業主の要件は、リーフレットに2つ書かれている。
- 労働者災害補償保険の適用を受ける、労働基準法附則第140条第1項に定める自動車運転の業務に従事する労働者を雇用する中小企業事業主であること
- 年5日の年次有給休暇の取得に向けて、年休管理簿や就業規則等を整備していること
1つめは、いわゆるドライバーを雇っていれば当たる。問題は2つめだ。年次有給休暇の管理簿が整っていない会社は、その時点で入口に立てない。ここは助成金の話というより、2019年から義務になっている年5日の取得と管理の話で、助成金を取りに行こうとして自社の抜けに気づく、という順番になることがある。
逆に言えば、管理簿と就業規則の整備はこの助成金を使わなくてもやることだ。11月30日の締切までに、年休管理簿が全員分あるかどうかだけ確認しておけば、申請するかどうかの判断が速くなる。
5つの成果目標から、達成する目標を選ぶ
この助成金は、先に「何を達成するか」を宣言する形になっている。運送業等の区分で選べる成果目標は、リーフレットに5つ並んでいる。1つ以上を選び、その達成を目指して取り組みを実施する。
- 成果目標①:月60時間を超える36協定の時間外・休日労働時間数の削減
- 成果目標②:所定外労働時間数の削減
- 成果目標③:年次有給休暇の計画的付与制度を新規導入
- 成果目標④:時間単位の年次有給休暇制度と、交付要綱で規定する特別休暇を1つ以上新規導入
- 成果目標⑤:10時間以上の勤務間インターバルの導入
ここで自社の現在地が効いてくる。36協定の特別延長が月80時間を超えている会社ほど、①で取れる上限額が大きい。制度の側から見れば、いま苦しい会社ほど厚く出る設計になっている。反対に、すでに時間が落ち着いている会社は①が使いにくいので、③や④のように制度を新しく入れる方向で組むことになる。
なお、成果目標①と②は同時に選べないとリーフレットに明記されている。両方やりたくても、上限額の計算はどちらか一方だ。
選んだ成果目標で、助成の上限額が決まる
上限額は成果目標ごとに決まっている。運送業等の区分の数字を、リーフレットから書き写す。
成果目標①(36協定の時間外・休日労働時間数の削減)の上限額は、事業実施前の設定時間数と、事業実施後に設定する時間数の組み合わせで決まる。
| 事業実施前の設定時間数 | 実施後に月60時間以下にする | 実施後に月60時間超80時間以下にする |
|---|---|---|
| 月60時間を超え80時間以下 | 200万円 | — |
| 月80時間超 | 250万円 | 150万円 |
成果目標②(所定外労働時間数の削減)の上限額は、削減した労働者1人あたりの所定外労働時間数で分かれる。5時間以上10時間未満で50万円、10時間以上で100万円。
成果目標③と④の上限額は各25万円。成果目標⑤(勤務間インターバル)は、導入した時間数と導入前の状況で細かく分かれるので、後ろのs9でまとめて扱う。
目を引くのは、数字の桁が目標によって大きく違うことだ。時間そのものを削る①は最大250万円、休暇制度を入れる③④は25万円。同じ助成金の中で10倍の開きがある。書類の手間はどちらもかかるので、手間に対して返ってくる額が見合うのはどれかという見方をしたほうがいい。
補助率は4分の3。条件が合えば5分の4になる
助成される金額は、上の上限額と、取り組みに要した費用の合計額に補助率を掛けた額を比べて、低いほうになる。上限額まで自動的に出るわけではない。
補助率は原則4分の3。常時使用する労働者数が30人以下で、かつ労務管理用ソフトウェア・機器・デジタコや労働能率の増進に資する設備・機器の導入を行い、その所要額が30万円を超える場合は5分の4になる(どんな会社が5分の4になるかはよくある質問で扱う)。
賃上げと割増賃金率の引き上げで、上限額が積み増しになる
成果目標を達成したうえで、賃金に手を付けると上限額が加算される。ここが業務改善助成金と逆向きに効くところで、賃上げは義務ではなく、やれば増える枠という位置づけになっている。引き上げ率・人数ごとの加算額と、割増賃金率の引き上げ加算はよくある質問にまとめた。
助成の対象になる取り組みは7つある
成果目標を達成するために実施する取り組みを、この制度は「改善事業」と呼ぶ。運送業等の区分では7つ挙がっている。
- 労務管理担当者に対する研修(勤務間インターバル制度に関するもの、業務研修を含む)
- 労働者に対する研修、周知・啓発
- 外部専門家によるコンサルティング
- 就業規則・労使協定等の整備
- 人材確保に向けた取組
- 労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新
- 労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
リーフレットが活用例として挙げているのは2つで、積載量の多いトレーラーを導入して一度で多くの荷物を運べるようにし、労働時間を削減した例と、デジタコを導入して運転日報や出勤簿の作成を自動化し、労働時間を削減した例だ。後者は、日報や出勤簿の転記が事務の時間を食っている会社にそのまま当たる。
ここで効いてくるのが、支給要領の「労働能率の増進に資する」の定義だ。生産性向上または労働者が直接行う業務負担の軽減により、作業単位あたりの労働時間の削減に資することで、しかもそれが客観的かつ合理的に説明できることが要る。要領は分かりやすい反例も置いていて、コールセンターの回線数を通常の範囲を超えて増やすのは、応答作業の労働時間が減るとは評価できず対応可能件数が増えるだけだから該当しない、としている。「捌ける量が増える」と「1件あたりの時間が減る」は別だという線引きである。この線は助成金に限らず、社内で投資を通すときにも同じことを聞かれる(業務効率化で時間はどれくらい減るのか)。
外部の専門家に払う費用は、合計10万円まで
冒頭に書いた10万円の話をする。
まず、対象になること自体は確かだ。支給要領は「外部専門家によるコンサルティング」を、外部専門家による、業務体制等の現状の把握、労働環境の改善に向けた問題点・原因の分析および対策の検討・実施等を行うことと定義している。外部専門家の範囲は資格の有無に依らないとされ、労務管理・経営面の専門家として社会保険労務士、中小企業診断士、経営コンサルタント等が、健康面の専門家として医師(産業医)、保健師、労働衛生コンサルタント等が想定されている。
ただし、この上限額はリーフレットには載っていない。支給要領の、助成対象経費の上限を定めた別表にある。外部専門家によるコンサルティングに係る経費は、合計10万円まで。
- 労務管理担当者に対する研修+労働者に対する研修:合計30万円まで(ただし提出代行者または事務代理者が事業を受託する場合は合計10万円まで)
- 周知・啓発:合計10万円まで
- 外部専門家によるコンサルティング:合計10万円まで
- 就業規則・労使協定(36協定を除く)の整備:合計10万円まで
- 36協定の整備(時間外・休日労働時間数を短縮させる場合に限る):合計1万円まで
- 人材確保に向けた取組:合計10万円まで
並べると設計が見えてくる。紙と人に払う分には10万円前後の天井があり、上限額の200万円や250万円という桁は、ソフトと機器のほうに置かれている。要領は、この経費上限を超えて取り組みを行っても、そのことだけで改善事業として否定されるわけではないとも書いている。つまり15万円のコンサルを受けてもいいが、助成の計算に乗るのは10万円までということだ。顧問契約の按分・相見積り・対象外になるコンサルの条件はよくある質問で扱う。
ではどう組むか。順番はこうなる。金額の本体はソフトと機器で作り、外部の人の力は10万円の枠内で「どこを削るかを決める」ところに使う。逆から見れば、この制度は「相談だけで完結する会社」を想定していない。時間が実際に減ったかどうかを見る制度なので、要領には、コンサルティングで提案された対策のすべてを期間内に実施する必要はないが、事業実施期間内に労働環境が全く変化しなかったと客観的に認められる場合は、改善事業を実施したものとは認められないとも書いてある。
勤務間インターバルは、改善基準告示の続きにある
成果目標⑤だけ、運送会社にとって少し事情が違う。他の業種の区分では9時間以上の勤務間インターバルで成果目標になるが、運送業等の区分は10時間以上が必要とされている。
この10時間という線は、いきなり出てきた数字ではない。改善基準告示は、勤務と勤務の間の休息期間を継続11時間を基本とし、最低でも9時間と定めている(改善基準告示とは何か)。助成金が求める10時間は、その最低ラインの9時間より上で、基本とされる11時間より下だ。告示を守っているだけでは届かず、基本の11時間まで行くと上限額が上がるという位置に置かれている。
導入前の状況で上限額が分かれる。運送業等に従事する労働者の2分の1を超える範囲に新規導入する場合、10時間以上11時間未満で150万円、11時間以上で170万円。すでに10時間以上を導入していて適用範囲を広げる場合は75万円と85万円、すでに10時間未満で導入していて2時間以上延長したうえで10時間以上にする場合も75万円と85万円になる。すでに10時間以上を半数を超えて適用している会社は、この成果目標を選べない。
ここで支給要領に、運送会社にとって見落とせない一文がある。この助成金でいう勤務間インターバルには、法令等で義務づけられている同等の措置(改善基準告示に基づく休息期間や分割休息など)も含む、とされている。一方で、「既に導入」しているとは、労働契約の内容として終業から次の始業までの休息時間が現に確保されていることをいうとも書かれている。運用として告示を守っていることと、労働契約に書いてあることは、この制度では別に扱われる可能性がある。自社がどちらの扱いになるかは、就業規則と労働契約の記載を見たうえで労働局に確認するのが確実だ。ここを取り違えると、選べない成果目標を選んで申請することになる。
- 交付申請期限:令和8年11月30日(月)午後5時。国の予算額に制約があるため、11月30日以前に予告なく受付を締め切る場合がある
- 事業実施:交付決定の日から令和9年1月31日(日)までに実施
- 支給申請期限:事業実施予定期間が終了した日から起算して30日後の日、または令和9年2月5日(金)の、いずれか早い日
- 申請先は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)。電子申請システム「Jグランツ」による申請も可能
例年、募集は4月頃に始まり、締切は11月末に置かれている(令和6年度11月29日・令和7年度11月28日・令和8年度11月30日)。締切を過ぎてこの記事を読んでいる場合も、来年度は例年どおりなら4月頃に次の募集が始まる可能性が高い(年度により早期終了・制度変更もあるため、最新の日程は募集開始の時期に厚生労働省のページで確認してほしい)。
順番を間違えると全部が無駄になる箇所は、業務改善助成金と同じだ。交付申請を出し、交付決定を受け、それから実施する。先に契約や導入を済ませてしまうと、その分は改善事業にならない。交付決定までにやるのは、契約ではなく見積もりを取るところまでである。
どこに相談すればいいか
- 制度の内容・自社が対象になるかの確認 → 企業の所在地を管轄する働き方改革推進支援センター(各都道府県に設置・相談は無料)
- 交付申請書の提出・個別の判断 → 管轄の都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)
- 電子申請 → Jグランツ(gBizIDの取得に日数がかかるので、使うなら先に手続きしておく)
- 年休管理簿・就業規則・36協定の整備 → 社会保険労務士。この助成金の入口要件そのものなので、申請の前に一度時間をとる
- 拘束時間の数え方そのもの → 運行管理者と、都道府県のトラック協会
よくある質問
- Q. 働き方改革推進支援助成金は、いつまでに申請すればいいですか?
- A. 令和8年度の交付申請期限は、令和8年11月30日(月)午後5時です。ただし国の予算額に制約があるため、11月30日以前に予告なく受付を締め切る場合があると厚生労働省のリーフレットに明記されています。年度末まで開いている制度ではありません。申請したあとの日程は3つあります。改善事業を実施できるのは交付決定の日から令和9年1月31日(日)まで。支給申請の期限は、事業実施予定期間が終了した日から起算して30日後の日か、令和9年2月5日(金)の、いずれか早い日です。順番は、交付申請、交付決定、そのあとに事業の実施です。交付決定より前に契約や導入を済ませてしまうと改善事業として認められないため、見積もりを取る時期と契約する時期は分けて考えてください。
- Q. 外部のコンサルタントや社会保険労務士に頼む費用も、対象になりますか?
- A. 対象になります。助成の対象となる取組のひとつに「外部専門家によるコンサルティング」が置かれており、支給要領は外部専門家として社会保険労務士、中小企業診断士、経営コンサルタント、産業医、保健師、労働衛生コンサルタントなどを想定していると書いています。資格の有無は問われません。ただし、外部専門家によるコンサルティングに係る経費の上限は合計10万円です。この金額はリーフレットの表には出てこず、支給要領の別表に書かれています。また、包括的な顧問契約を結んでいる場合、その料金全体ではなく改善事業に関係する範囲だけが対象です。顧問料を月額でまとめて払っている社会保険労務士に頼む場合は、契約書か請求書の側で範囲を切り分けておく必要があります。資金繰りの改善など単なる経営改善のコンサルティングや、この助成金で導入したシステムの運用・利用に関するコンサルティングは対象になりません(導入したソフトの使い方講習を後から足す、という組み立ても通りません)。契約にあたっては原則として2以上の見積書の提出が必要です。同一の企業グループ内の別事業者から取った見積りは相見積りになりません。専門性・特殊性から1社でしか提供されていない場合などは困難な場合として扱われますが、その際は市場参考価格が分かる資料の追加提出を求められることがあります。
- Q. 業務改善助成金と、両方使うことはできますか?
- A. 条件つきでできます。支給要領は、働き方改革推進支援助成金の賃上げ対象労働者と、業務改善助成金の事業場内最低賃金引上げの対象者が重複することは差し支えない、としています。一方で、他の助成金と措置の内容が同一である場合、たとえば同一の機器・設備類の設置について両方の助成金を受給しようとする場合は、いずれか1つについてしか交付決定を受けられません。つまり、同じ機械を2つの制度で二重に助成してもらうことはできないが、賃上げする人が重なること自体は問題にならない、という整理です。2つの制度は要件も期限も別なので、どちらから組み立てるかは自社の事情によります。個別の判断は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に確認してください。
- Q. 補助率が5分の4になるのは、どんな会社ですか?
- A. 常時使用する労働者数が30人以下で、かつ労務管理用ソフトウェア・機器・デジタコや労働能率の増進に資する設備・機器の導入を行い、その所要額が30万円を超える場合です。この分岐は10台20台の会社にそのまま当たります。30人以下という線は地場の運送会社の多くが下回りますし、労務管理ソフトやデジタコで30万円を超えるのも難しくありません。研修や就業規則の整備だけで組むと4分の3、そこに機器やソフトを足すと5分の4です。同じ100万円を使っても、戻るのは75万円と80万円で変わります。
- Q. 賃上げや割増賃金率の引き上げをすると、上限額はいくら増えますか?
- A. 常時使用する労働者が30人を超える場合の加算額は、引き上げ率と人数で決まります。3%以上の引き上げなら1〜3人で6万円、4〜6人で12万円、7〜10人で20万円、11〜30人は1人あたり2万円(上限60万円)。5%以上なら24万円・48万円・80万円、11人以上は1人あたり8万円(上限240万円)。7%以上なら36万円・72万円・120万円、11人以上は1人あたり12万円(上限360万円)。小さい会社ほど倍率が上がり、常時使用する労働者数が10人以上30人以下の場合は5%および7%以上の引き上げについて上の加算額が2倍に、10人未満の場合は2.5倍になります。割増賃金率の引き上げにも加算があります。月60時間以内の時間外労働に係る所定割増賃金率を5%以上引き上げれば25万円。月45時間超60時間以内の時間外労働の割増賃金率を5割以上とし、かつ交付申請後から事業実施予定期間の終期までのいずれか1か月の時間外労働を、交付申請日の属する月を基準として労働者1人あたり10時間以上削減すれば75万円です。後者は率の引き上げと時間の削減がセットになっており、払う単価を上げつつ総量を落とす形を狙っています。
- Q. 倉庫や店舗などの建物にもこの助成金は使えますか?
- A. 使えません。不動産・建築物・敷地といった施設は、社会通念上「設備・機器等」とはいえないため改善事業にできないと支給要領に定められています。倉庫を建てる話はここには乗りません。
この記事の立場
本文の対象事業主の要件・成果目標・助成上限額・補助率・加算制度・改善事業の7区分・申請期限・事業実施期間・支給申請期限・活用事例は、厚生労働省の令和8年度リーフレット(業種別課題対応コース・運送業等)で確認しています。外部専門家の範囲・コンサルティングの定義と対象外の線・経費の上限額・顧問契約の按分・相見積り・「労働能率の増進に資する」の定義・勤務間インターバルの上限額と「既に導入」の判定・業務改善助成金との併給の扱いは、同コースの支給要領によります。業務改善助成金の側の数字は、厚生労働省の令和8年度リーフレットで確認しています。記述はいずれも2026年度(令和8年度)時点のもので、制度は年度ごとに変わります。
自社が対象になるか、個々の取り組みが改善事業として認められるか、どの成果目標を選べるかは、事業の実態と申請の内容によって判断が変わります。最新の交付要綱・支給要領で要件を確認のうえ、上の相談先へ。本記事は制度の解説であり、申請代行は行っていません。
出典(国の一次資料)
- 厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)」(令和8年度・制度概要/対象事業主/成果目標/補助率/交付申請期限=令和8年11月30日(月)午後5時/事業実施期間)厚生労働省 働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)
- 厚生労働省「令和8年度『働き方改革推進支援助成金』業種別課題対応コース(運送業等)のご案内」(2026年4月版リーフレット/対象事業主の2要件・成果目標①〜⑤・成果目標ごとの助成上限額・改善事業の7区分・補助率3/4と4/5・賃上げ加算と割増賃金率引上げ加算・活用事例・申請期限・支給申請期限・予算制約による早期締切)業種別課題対応コース(運送業等)のご案内(PDF)
- 厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)支給要領」(外部講師・外部専門家の範囲/外部専門家によるコンサルティングの定義と対象外/「労働能率の増進に資する」の定義とコールセンターの反例/施設の除外/表4の経費上限額(コンサルティング10万円・研修30万円等)/包括的顧問契約の按分/相見積りと2以上の見積書/勤務間インターバルの表2-3と「既に導入」の判定/改善基準告示に基づく休息期間の扱い/業務改善助成金との併給の整理)業種別課題対応コース 支給要領(PDF)
- 厚生労働省「働き方改革推進支援助成金(業種別課題対応コース)交付要綱」(改善事業・成果目標・助成上限額・併給に関する規定の根拠)業種別課題対応コース 交付要綱(PDF)
- 厚生労働省「令和8年度業務改善助成金のご案内」(比較表の右列=申請期間・助成率の1,050円区分・経営コンサルティングの経費区分・自動車の除外)令和8年度業務改善助成金のご案内(PDF)
この助成金を読んでいて思ったのは、国が金を出す先の重心が、はっきりソフトと機器のほうに寄っているということだ。人に払う分は10万円で頭を打つ。それでも、何から手を付けるかが決まらない会社にとって、10万円の枠は「決めるための時間を買う」費用にはなる。決まったあとに何を入れるかのほうに、200万円の桁が用意されている。先に決めて、あとで買う。この制度の順番は、たぶんそういう意味だ。